「あん摩」という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが「按」（押さえる）「摩」（さする）という意味で、いわゆる「もみほぐし、さする」技術の正式名称です。
「マッサージ」は皮膚の上を手のひらや指で直接擦る（こする）技術です。
「指圧」は筋肉を指で押す技術です。

いずれも、筋肉の緊張を弛めたり血流を促す効果が認められています。また、私達は､身体のどこかに痛みや違和感があると無意識にそこに手をやってしまうことがありますね。「手当て」の語源にもなっていますが、近年の研究では､身体に触れることで脳内のホルモン分泌や化学伝達物質に影響を及ぼし、痛みの感じ方に変化が出ることも証明されています。

「はり」と聞くと、ご存じない方はお裁縫に使う針や、注射器についている針をイメージしがちですが、鍼治療に用いる鍼は、様々な規格があるもののほとんどがとても細く柔らかくできています。また、完全滅菌されたディスポーザブル（使い捨て）鍼を用いて治療を行いますので、感染の心配もございません。ご心配なことがありましたら､事前に何でもおたずね下さい。

鍼治療は､主に経穴（けいけつ）、いわゆるツボに対して鍼をすることが多いですが､筋肉、神経などを刺激することを目的に行うこともあります。

経穴は経絡（けいらく）という全身をめぐる何本もの経路の上にあります。この経絡､経穴というものが何なのかという研究が､科学者の間で盛んに行われています。腰の痛みに対し足の経穴に鍼をして痛みが取れた、手に鍼をしたら歯の痛みが治まった等々。中国四千年の歴史に実証されている治療ながら、現段階では科学的に全てを証明できてはいません。最近、「筋膜リリース」とか「筋膜を整えて肩こりが軽くなる体操」など、テレビで取り上げられる機会が多いのですが、最新の研究では､筋膜の走り方が経絡と共通しているのではないかという説明もされています。

昔は「お灸をすえる」というと、悪さをした子どもへのお仕置きに代表される罰のイメージで､大変な熱さに耐えるという印象が強く、敬遠される方も多い治療法ですが、実際には全く痕も残らず、熱さの刺激も十分にコントロールできます。

お灸は1回の施術での効果よりも施術回数を重ねる方がより効果が期待できるとされています。薬局などで販売している「せんねん灸」はご自分でも行えますので、自宅でも続けて行うこともできます。

お灸も鍼と同様、その方の体質や症状に合わせて経穴（ツボ）を選んで行います。特に体質改善、慢性疾患などに効果が高いと言われています。また、妊婦さんの逆子治療や不妊症にも効果があることが報告されています。